謎と不思議の体験ツアー

 

 市認定の専門ガイドによるツアーとはどんなものなのでしょう。

 「国の史跡」、「日本遺産」の不思議に満ちた小宇宙・猿島を一緒に歩いてみましょう。

 

 のんびりと進む紙上ツアーです。いくつかの項目の詳しくは専門ガイド協会HP内の「猿島の遺跡」や「専門ガイドのおすすめ」をご参照ください。

 

 

 乗船前から同行

 事前予約ツアーの場合は、船が出る三笠桟橋で集合し、船に乗る前からチケット購入も含めてご案内します。

 基本的に帰りもご一緒します。

 

 三笠公園には日露戦争で活躍した有名な「記念艦三笠」が、ほぼ120余年前の姿のまま係留されています。

 猿島ガイドの守備範囲ではありませんが、ガイドたちはよく知っていますので時間があれば説明もします。

 

 船は約10分

 猿島までの距離は約1.6㎞。乗船時間は風向きで多少変わりますが約10分です。

 ほんのわずかな時間なのですが、乗船したとたんに船酔いを訴える方もごくまれに見受けられます。

 

 おおむね東京湾は穏やかなのですが、冬は結構揺れる場合があり、船内から悲鳴が上がるときもあります。そんな時は、テーマパークの海賊船にでも乗ったと思って揺れを楽しみましょう。

  

 時に波しぶき

 すごく揺れるときは、このまま転覆したら子供と女性から救助され、私は最後になるんだろうな、などとあらぬことを考えたりもします。

 

  そんな日は猿島に着岸したときに注意が必要です。うっかりすると波をかぶってしまうのです。波の切れ間を見計らって、素早く桟橋へ急ぎましょう。

 

 島に上陸したらキッチンわきの階段を上ると、管理棟のウッドデッキに出ます。

 

 春の日差しを浴びながら、海を眺めてのんびりしたり、あるいはパラソルの下での軽食や語らいもお勧めです。

 

 目の前の砂浜は夏休みなどがバーベキューの人でいっぱいになります。

 

 好みでツアーを選びましょう

  

 専門ガイドツアーの他に船会社のツアーもあります。

 船会社の受付はこの2階で、専門ガイドツアーはさらに1段上がった3階で受付です。

 

 

 それぞれの特徴は次の通りです。

 

 

 ▼専門ガイドツアー普段は施錠されていて入れない兵舎や弾薬庫などの地下壕にも入ってご案内します。

 落ち着いて歴史、軍事、生物、環境などじっくり丸ごと楽しむのが専門ガイドツアーです。

 時間は、次の便で帰りたい人から、90分かけて猿島を丸ごと知りたい人まで、とご要望に応じて対応します。途中離脱も自由です。

 

 ▼船会社の探検ツアーは、「30分でおいしいところをサックリ」(同社HP)説明しながら進み、島の中ほどで解散します。急いで戻れば次の便で帰れます。

   ※  ※ 

 

 みなさんがそれぞれ内容を吟味して、お間違えの無いようにお好みに合わせて猿島を楽しんでください。

 

では「専門」コースにそって

 

 では、猿島の達人たちが標準的な「専門ガイドツアー」をご案内しましょう。

 

 軍港碑

 ウッドデッキの下にあるのが軍港碑です。うっかりすると見逃してしまいます。

 安山岩の角柱が二つに折れて並べてあります。 

 軍が港の範囲を示すために明治10年(1877年)に建てたもので、当初は木製でしたが明治16年に石柱に建て替えられました。柱の下部には一部欠落してのような数字が残っています。

 

 発電所

 軍港碑を過ぎると、左手の榎の大木の向こうに小さな小屋に不釣り合いな大きい煙突が付い建物があります。

 

 ここは明治28年に完成した発電所です。 

 小屋も煙突もレンガ造りですが、なぜモルタルが塗られているかは資料もなくです。

 

 小さな史跡たち

 発電所を過ぎるあたりから上り坂が少し急になります。

 このあたりから緑が多くなりますので、深呼吸でもしながらゆっくり上るのがおすすめです。 

 坂の途中、足元に安山岩でふたをされたマンホールのような地味な史跡があります。

  少し進むと土手にそれに関連しためいた土管が埋めめ込まれています。

 

 石垣に残る傷跡

 カーブを右へ曲がると切通しの道となります。東京湾に侵入してきた敵から見えないように、攻撃を受けても被害が少ないように、と掘られた切通しです。

 

 素掘りの切通しの正面に石垣が現れるのですが、そこに周囲と色が違うの傷跡があります。言われないと素通りしてしまうでしょう。

 

 不可解なスペース

 素掘りの切通しから石垣の切通しへ変わるところの左側に、ごみ集積場のようなスペースがあります。のスペースです。

  

 フランス風の要塞

 兵舎を出て切通しを前へ進みます。右手に兵舎、次にブラフ積みと呼ばれる西洋の石垣が現れます。

 猿島には硬い大量の石はありません。一体どこからどうやって持ってきたのか興味あります。

 

 あ、説明が遅れましたが、この要塞の基本はフランス式の築城術にならっています。

  

 兵舎に入ります

 切通しの右手最初にある地下壕が兵舎です。

 施錠されていて専門ガイドでないと入れません。 

 作られて約130年、総レンガ造りの上から漆喰が厚く塗られています。少々かび臭いですが夏涼しく冬暖かい地下壕です。

  何人くらいが居住?どうやって寝たの?食事は?風呂は?などと想像しだすと興味は尽きません。

 

 加農砲

 兵舎などが並ぶ石垣の上には、加農砲と呼ばれる大きな大砲が東京湾に向かって4門設置されていました。 弾丸は直径24㎝ありました。

 で、謎々です。砲弾の重さは次の3択のうちどれでしょうか?①50kg ②100kg ③150kg。正解は同行のガイドからどうぞ。

 

 弾薬庫にも入ります

 大砲の下の地下壕に一時弾丸を蓄えていたところが弾薬庫です。

 ここも専門ガイドでないと入れません。 

 内部には壁に沿っての窓が4つ並んでいたり、井戸のような謎の穴もあります。

 何のためのものか推理してみてください。これは難問です。 

  

 レンガ積みの色々

 弾薬庫の向かいには、レンガ造りのスペースがあります。

 生活には欠かせない設備なのですが、初めて猿島を訪れた人にはのスペースとしか見えないようです。

  弾薬庫とこのスペースではレンガの積み方が違います。専門ガイドの説明に期待しましょう。

  

 士族レンガ

 ちなみに、猿島で使われているレンガの多くは愛知県の侍たちが焼いたもので士族レンガと呼ばれていました。

 ついでですが、明治中頃からは東京小菅の刑務所でもでも囚人にレンガを焼かせました。これらは●●レンガと呼ばれましたが、さて●●とは?

 

 苔が美しい 

 この島の苔は見事です。石垣を一面に覆う苔、素掘りの崖をはう小さな苔。

 改めて眺めるとすーっと心を静めてくれるような美しさがあります。 

 苔という地味な植物をめでる日本人という人たちは、不思議な美意識が発達した民族のようです。

 

 大トンネル

 切通しを進むと大きなレンガ造りのトンネルが現れます。

 幅約4m、全長約90m。フランス積み構造物としては日本ではわずかしか残っていない貴重なトンネルです。

  猿島は2015年に国の史跡として指定、翌2016年には佐世保、呉、舞鶴とともに日本遺産に認定されました。

 トンネルのレンガ積みの厚さなどは長らくでした

  

 異空間

 大トンネルを抜けたところが、天空の城ラピュタのイメージだというので人気のスポットです。

  このあたりにの秘密の場所レンガが愛知で焼かれた証拠があります。時間があったら専門ガイドと一緒に確認してみましょう。

 

 8cm砲座跡 

 このあたりまでくるとやっと東京湾が望めます。 

 ここでいう8cm高角砲とは砲の口径です。明治の大砲と比べるとずいぶんと小振りになります。

  なぜ小振りになったかはというにはやさし過ぎるでしょうか。

  この砲台の崖下には日蓮上人にちなんだ、日蓮洞穴があるのですが2019年の台風でがけ崩れが起き、現在は行けないのが残念です。 

  

 アサギマダラ

 猿島にはアサギマダラいう謎めいた美しいチョウがいます。

 渡り鳥のように海を渡る不思議なチョウですが、近年はその数が減ってきたように思えます。 

 チョウは鬼女蘭という変わった名称の植物の裏に卵を産み付け、ふ化した幼虫はこの葉を食べて成長します。

  

 卯の崎

 猿島で一番の眺望自慢の場所です。東京湾の200度以上の視界が開けます。江戸湾の防備のため台場(砲台の在ったところ)が築かれたところです。

 防衛大学、房総半島の富津や君津の工業地帯、第一海堡と第2海堡、運が良ければアクアライン、スカイツリーまで眺めることができます。

     

  フウトウカズラ

 ちょっと内緒お教えします。卯の崎の広場の周囲を注意深く観察すると、秋から冬にかけてフウトウカズラの赤い果実を観察することができます。

 島で果実を果実を観察できる場所はわずか数か所だけです。

 フウトウカズラというのは日本では数少ない胡椒科の植物です。果実は胡椒のそれとそっくりです。

 

 

 そして島の頂上

 海抜40mの島の頂上までは108段の階段があります。

 子供たちは元気よく上りますが、都会生活に慣れ切った方にとっては時につらいようです。

 

 頂上への階段の段数が煩悩の数と同じです。さて偶然か故意か。

 コンクリート製の建物は昭和の海軍の指揮所ですが、かつて人気TV番組のロケにも使われました。対岸の米軍基地が良く見えます。

 

 12.7cm砲座跡

 

 1万メートルという高高度を飛行する米軍の爆撃機B29を迎え撃つために、比較的命中精度が高いといわれて設置されたのが12.7㎝という高角砲でした。

  砲座跡には榎の大木があります。樹齢70歳前後、幹回り2m以上、自然の力強さを感じます。

 大輪戸台場跡

 江戸時代に台場(砲台の在ったところ)跡です。 

 周囲の茂みでは初夏にはスイカズラが甘い香りを放ち、晩秋から初冬にかけてはカラスウリが赤い実をつけます。

  冬枯れた色彩の乏しい里山に、心安らぐような彩りを加えてくれます。なぜカラスウリというのか知りませんが不思議な命名です。

  

 春日社跡

 最後の案内ポイントです。

 江戸時代中ごろから猿島は対岸の公郷村の鎮守様で、この小さな広場に春日社があり、島は全体が神域で祭礼以外は近づけませんでした。 

 明治17年に陸軍が要塞を作るために島全体を買い上げました。

 さて、陸軍はいくらで買い上げたでしょうか?というのが最後の謎々です。3択でどうぞ。600円、1200円、2000円。

 

 ただここも2019年の台風でがけ崩れが激しく、現在は立ち入り禁止になっているのが残念です。 

◆  ◆ 

 これで標準的なコースを一巡しました。いかがでしたか。 

 

 言われなければ素通りしてしまうような事や所も多く、ガイドと一緒ですと島の魅力を2倍も3倍も味わうことができると思います。

 せっかく来た猿島、「専門ガイド」をうまく利用して、どうぞ100%も120%も楽しんで帰ってください。(木)

 

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