NEW 猿島便り11月「赤い船底」
愚直に丁寧に 専門ガイドツアー
兵舎・弾薬庫に入ります
東京湾唯一の自然島、そして国史跡の要塞の島。
『猿島公園専門ガイド協会』は、愚直に丁寧に猿島ガイドを続けて15年、横須賀市が養成したガイドのボランティア団体です。
自然保護に配慮し、ただの観光案内と一味違った地道な活動が評価され、2021年には神奈川県から感謝状もいただいております。
専門ガイドによるツアーは、明治時代のレンガ造りの兵舎や弾薬庫等にカギを開けて入り、じっくり解説します。若い人から年配者まで参加した方から高い評価をいただいております。
圧倒的な知識の専門ガイド
自己研鑽や学習を欠かさない猿島の達人たちが、島を1周しながら、一方通行でなく、歴史や軍事はもちろん植物や自然など、質疑応答も交えつつ丁寧にご案内いたします。
専門ガイドはオレンジの帽子
「専門ガイドツアー」のご案内
専門ガイドが案内するツアーにはAとBの2種類あります。歩くコースはどちらも同じです。
A:猿島で受付 600円
▽猿島の管理棟3Fで受付。原則毎日実施
▽10時、11時、13時、14時出発(追加もあり)
▽所要時間は45分~は90分で、ご要望に応じます。
▽大人600円、小学生300円。詳しくは下記参照。
B:事前に予約
▽ご家族あるいはグループで、他の人に気兼ねなく回れます。
▽きめ細かいご案内が魅力。所要時間は60分~90分。
▽乗船券購入の段階から同行します。
▽5人までは3500円定額、6名以上は1人600円ですが、詳しくは「ツアー申し込み」をご参照ください)
※ご注意:船会社もツアー実施 600円
船の運航会社も、同社のスタッフが案内する30分、60分のツアーを実施しています。
「専門ガイドツアー」と「船会社のツアー」。少々紛らわしいので特徴を理解し、お好みのツアーをお選びください。
専門ガイドツアーを体験
「専門ガイドツアー」とはどんなものなのでしょう。体験版を設定しましたのでよろしかったらご一緒にどうぞ。こちらから
◆猿島便り「赤い船底」
積載の限界?
猿島へは10分ほどの船旅です。下船して振り返って見ると、乗ってきた船の船底が赤く塗装されているのが見えます。
満載喫水。「これ以上積み過ぎると危険」というサインのために、目立つよう赤く塗装されていると思っている方はいませんか。私は子供のころからそう思い込んでいました。
しかし、船底が赤くなっているのは、目立つためとは全く別の理由でした。
赤色に至るまでには、2千年にわたる先人の試行錯誤の長い歴史があったのです。
日本銅センターという、船とはあまり関係のないように見える団体の冊子「銅誌」が、船底が赤くなっている理由を教えてくれています。
ローマ軍も苦戦
それによりますと、船が港などに停泊しているとすぐに船底に貝や海藻が付着します。とりわけフジツボは強固な厄介者で、摩擦抵抗をおこしてスピードを悪化させ、燃料を無駄に消費させる大敵だそうです。
それらの付着を防ぐためにタール塗ってみたり、スズや鉛を含んだ塗料を塗ってみたり、銅板を張ってみたりと様々な工夫が試みられたそうです。
付着物との戦いにはギリシャやローマの強力な大海軍も手こずったようです。
第2次大戦以降、環境に配慮した研究がすすみ、現在の亜酸化銅(これが赤色)の粉末に合成樹脂を配合した塗料が、広く使われるようになったそうです。
つまり、生物付着を防ぐための最適の塗料が、結果として赤色だったということなのです。
声高に語られることが無いだけで、普段目にする様々な物もそれぞれが「プロジェクトⅩ」を秘めているに違いない、と気付かせるような赤色でした。「銅誌」はこちら(木)
◆
その後、船舶技術者の話としていろいろ教わりました。
船底塗料は高価なので塗装面積を減らすため、船側は塗り分けている。しかし、高価ではあるが付着物を減らすために若干水面上に出るところまで塗装している。現在ではFRP艇や漁船などは青色や黒色も使われている、などなど。現場を知る人の話は一味違いました。
(京急横須賀中央駅から徒歩約15分、乗船時間約10分)