◆ヤマブドウ
エビヅル
エビヅルとはヤマブドウのことです。日当たりの良い所が好きで、猿島でも良く見かけます(写真は卯の崎で)。赤紫色の果実は食すことができ、果実酒としても楽しめます。
日本では古くはヤマブドウをエビと呼びました。赤紫色を葡萄色(えびいろ)と呼ぶのはそのためです。エビヅルの果実を使って染色すると品の良い紫に仕上がるそうです。
よく似たものに野ブドウがありますがこちらの果実は食べられません。見分けるコツは葉で、野ブドウの葉はつるつるしていますが、エビヅルは短毛があり少し厚みもあります。
ウグイス
谷崎潤一郎によれば、ウグイスを美しく鳴かせるには大層手間とお金がかかり、お金持ちはウグイスのために人まで雇ったそうです。まず日々の餌作りからして一仕事でした。
大豆と玄米を炒って粉にしたものへ糠を交えて白粉を作り、ほかにフナやハヤの干したものを粉にした鮒粉というものを用意して、この二つを半々に混じて大根の葉をすった汁で溶く、などとして作ったとか。
さらに声をよくするための秘密兵器はエビヅルの茎の中に巣くう昆虫、これを日に1匹~2匹与える必要があったそうです。
この虫を毎日採集するのはさぞ大変だったでしょう。
しかし、今はエビヅルの虫探しで悩む必要はありません、何しろ、野鳥を飼うこと自体が禁止されていますので。
<余談> エビ茶の袴といえば卒業式の女学生の定番の一つです。これは皇族・華族の子女が多く進んだ日本初の私立女学校である跡見学校(明治8年創立)から袴の色をたずねられた皇后(明治)の「紫がよかろう」というお言葉がきっかけだそうです。
他の女学校では「紫はおそれ多い」と、それに近いエビ茶が採用されたといわれています。(木)
2022年8月