◆ウグイスの島
春本番、島に渡って発電所わきの坂をのぼるあたりから、木漏れ日と一緒にウグイス(鶯)のさえずり(囀り)が降りそそいできます。
初心者と思われるつたないものから、伸びやかなものまで様々で、暖かな明るい陽気の日などは絶え間がありません。来島者から「あれはBGMですか?」と聞かれることもあります。
声を聞くと条件反射のように姿を探してしまうのですが、よく間違えられるメジロと違って人目につくことは滅多にありません。
ごく稀に一瞬見えることがありますが、声に似合わない地味な小鳥です。
ところでウグイスの糞は、平安期は織物の汚れ落としとして、江戸期からは肌をきめ細かくし、美肌にする化粧品として女性に愛用されてきました。
ベッカム夫人も愛用?
伝え聞いたところでは8年ほど前、イギリスの高級ホテル「ロンドン・ヒルトン・オン・パークレーン」のエステサロンでもこの“糞エステ”が行われていたそうです。
この美容法を紹介したのは、サッカーのベッカム選手の夫人といわれ、長年ニキビに悩まされていた彼女が、日本女性のきめ細かい肌にあこがれてこのウグイス糞美容法に行き着いたのだそうです。
つい最近まで、江戸時代から続く歌舞伎や映画の関係者御用達の浅草の百助化粧品店が扱っていたようですが、今も扱っているかどうかは知りません。
市街地では聞く機会も少なくなったウグイスです。美声を聴きたくなったら、春のうちに猿島においで下さい。さえずりをBGMに専門ガイドがじっくり島をご案内します。(木)
2023年4月