◆房州石の刻印

 鋸山が中心

 なぜ長い間なぜ気がつかなかったのでしょう。石垣の刻印のことです。石垣はレンガと共に猿島の景観を特徴づける主要な役者です。

 レンガについては愛知で生産とはっきりしていましたが、石については東京湾対岸の房州石と言われていただけで、確証がありませんでした。

 

 数年前、協会の仲間たちが房州石の産地鋸山へ出向き、先祖が名主として石材切り出しの中心的役割を担っていた方から詳しく話を聞く機会がありました。

 

 結論から言いますと、猿島の石垣は鋸山の房州石で間違いありませんでした。伺った話をもとに島の石垣を改めて調査したところ、石を切り出していた業者の刻印を確認することができたのです。

 

 カエサルの至言

 確認できる刻印は「+」や「¬」など複数あります。何十回となく石垣をながめつつ通っていました。くっきりした刻印は確実に目には入っていたはずなのに気がつきませんでした。私は何を見ていたのでしょう。

 

 ローマの英雄カエサルに至言があります。「人は現実のすべてが見えるわけではなく、多くの人は見たいと思う現実しか見ない」。

 古典「ガリア戦記」で知られる文武両道の天才には、敗れ去った敵将が見ようとしなかった現実あるいは見えなかった現実が見えていたのでしょう。

 

 ありがたいことに、見たいものしか見ないで過ごしていても致命的な不都合など生じることがないのは、平凡なる市民ゆえの幸せというもの。

 それにしても、一年近く世界を震撼させている某国の独裁者、この人は一体現実の何を見て、あるいは何を見ようとしないで隣国に残虐な攻撃を続けているのでしょう。(木)

 2023年1月

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