◆ヘクソカズラ

 気の毒

 植物には奇妙な名前のものが結構ありますが、これは気の毒な名前の横綱級でしょう。ヘクソカズラのことです。

 

 当人としては害虫を寄せつけないために精一杯頑張っているだけなのに、心無い命名に迷惑しているのかもしれません。

 漢字で「屁糞葛」、文字を見ただけで、鼻先を手で払いたくなってきます。英語でもスカンク葛と呼ばれるそうです。

 

 その悪臭には古代の人々もへきえきしたのでしょう、万葉集にも屎葛(くそかずら)としてうたわれているそうです。

 でも花は可憐です。その花をかわいそうに思ったのか? サオトメバナ(早乙女の笠)、ヤイトバナ(灸)などと、優しく呼ぶ地方もあるようです。

 

 まま子の尻拭い

 奇名といえば、「まま子の尻拭い」も超横綱級でしょう。葉や茎にトゲがあるツル植物で、憎い継子の尻をこれで拭えば、さぞ痛がらせることができるだろうというもの。もはや、変わったというより残酷です。

 

 この植物は韓国では「嫁の尻拭き草」と、呼ばれているそうです。どちらも残酷ですが韓国名の方がやや陰湿感が強いようにも思うのは私だけでしょうか。

 

 本当に世の中には底意地の悪い発想をする人がいるものです。

 いや、実は誰もが意地悪や差別の心を持っているのだけれど、持っていることに気がつかず、自分は持っていないと信じているだけかもしれません。(木)

 2022年2月

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