◆春うらら卯の崎の眺望

 

 島屈指の絶景ポイント

 木々がかぶさる小道を抜けて広場へ出ると、一気に東京湾の視界が開けます。卯(う)の崎です。

 島の東の方角にあたるのでこのように呼ばれ、200度以上の眺望に思わず深呼吸したくなるようなポイントです。

 

 ここは江戸時代、幕府が川越藩松平氏に防備を任せた卯の崎台場(砲台)で、右手の高台は防衛大学、そして東京湾をはさんだ向こう側は房総半島です。

 半島を左に視線を動かすと君津市の近代的な工業地帯がびっくりするくらいはっきり、そして思いがけない近さで見えます。

 

 新旧の技術の粋

 工業地帯の手前の海面には、明治政府が首都防衛のために、あるだけの土木技術となけなしの資金を投入して構築した砲台の島・第1海堡と第2海堡も横たわっています。第2海堡などは完成に25年かかりました。

 

 さらに左に視線を移せば、こんどは現代の技術の粋を集めて建設されたアクアラインやスカイツリーまで認めることができます。この一望に幕末から現代にいたる軍事や土木技術の精髄が混然と広がっているのです。

 

 ま、そんな難しい話はさておいて、胸のすくような東京湾の景色をゆっくり楽しんでは如何でしょう。春うららの日など、私もガイドを放棄して陽光の下で握り飯でもほおばりたい誘惑にかられます。(木)

 2020年3月 

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