◆冬こそ猿島 ウミウの越冬

 

 崖は真っ白

 猿島にはめったに雪は降りません。それでも、「あれ、雪が降ったのかな?」と思わされる時があります。西側の断崖で越冬するウミウの仕業です。

 多い時は数百羽ともいわれますが、とても数えきれません。 彼らの越冬が始まると、崖も周囲の木々も雪が降ったように白くなります。彼らのフンです。

 このフンが海に流れ込んで養分となり海藻を育て、その海藻が魚をはぐくむのだそうです。

 

 絶壁で微動もせず

 彼らは雨が降っても雪が降っても、身を切るような寒風に吹き飛ばされそうになっても、じっと岩場にじっとたたずんでいます。そこなら外敵に襲われる心配がないのでしょう。

 

 風雨に耐えて身じろぎもせず崖にしがみつき、微動もせずにたたずむ姿は、なにやら高邁なことごとを思索しているようにも見えます。

 

 この集団は同じ三浦半島にある城ケ島の集団から分派したものと聞いていますが、春が来れば一斉に北海道や岩手、秋田などの北国へと移動していきます。

 

 そして、崖や木々は数か月かけて元の色を取り戻し、再び生き生きした表情を見せます。悠久の自然が繰り返すリズムです。

 この白くなった光景も猿島の冬の風物詩ですが、最近鵜の数が少なくなってきているのが気がかりです。(木)

 2020年1月 

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