◆細る猿島

 台風で深刻被害

 2019年の台風で猿島は相当深刻な被害を受けました。例えば写真左上方の先端に小さな広場があるのですが、崖崩れが進み立ち入りが出来なくなりました。

 明治17年に軍が島を買い上げるまでは、そこには春日社と呼ばれるささやかな神社があり、島全体がその神域でした。 

 

 また、写真右の突端にあり、猿島の名に関係する日蓮洞窟も崖崩落の危険が迫り立ち入り禁止となってしまいました。

 島の歴史を語るうえで欠かせない重要なポイントだったのに案内することができなくなっています。

 

 更に、左下端の卯の崎広場周辺も崖の崩落が進み、広場へ通じる小道のあたりも浸食が迫っている状態です。島の周囲は波による浸食が確実に進んでいます。

 

 後悔の前に

 頭上を覆う木々が美しい木漏れ日を作り、まるでラピュタの城みたいだと人気の三叉路も木々が失われてイメージが大分変わりましたが、木々は放置しておけばおそらく再び茂るでしょう。

 しかし、海蝕は放置すれば進むばかりです。時間が経てば経つほどに対応が難しくなるでしょう。

 

 市も日蓮洞窟と春日社跡の状況は承知しており、先ず令和5年度に日蓮洞窟から測量調査を行い、現状で固定すべきか以前の状態に復旧すべきかなど、技術面も含め広く各方面と検討するそうです。

 

 猿島にとって大事なことは何か。観光資源と考えたイベントも結構、集客も大事。しかしもっと大事なのは史跡を保全し、次代に残すことでしょう。

 取り返しのつかない後悔の時を迎える前に対応し、訪れた人に史跡をくまなくご案内できる日が、一日も早く来ることを願うばかりです。(木)

2023年2月

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