◆カラスウリ

 一夜限り

 日没に開花、日の出とともに萎んでしまう一夜限りのはかない命。

 秋に赤い実をつけるカラスウリの花です。

 

 7月下旬、卯の崎へむかう小道の脇や大輪戸台場跡で、綿棒を気持ち大きくしたようなつぼみ、あるいは咲き終えた残骸を観察できます。

 残念ながら、夜間の滞在ができない猿島では開花した花を見ることはできません。

 

 でも、秋になると大輪戸台場跡の陽だまりの茂みで、真っ赤な果実を観察することができます。冬枯れた風景の中の紅一点。周囲に暖かな空気を作っています。

 

 夜の蝶はいない

 一般に花は色や香りで蝶や蜂などを呼び寄せて受粉します。銀座や六本木では夜も蝶が活躍するようですが、猿島の夜は静かなものです。この花は一体どうやって受粉するのでしょう。

 

 実はスズメガという夜行性の蛾が雌雄異株のカラスウリの受粉を手伝うのでした。

 真っ白に咲くのは闇の中で目立つため。蛾を呼ぶために良い香りまで振りまくそうです。

 

 闇の中で妖艶に咲く繊細な花に魅せられました。昼のうちにつぼみの在りかを確かめておいて、暗くなるのを待って出向くと会うことができます。(木) 

(写真の花は2022年8月6日、横須賀市内で)

 

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