◆軍港碑
130余年島を見守って
猿島に上陸して歩を進めますと、訪問客を見下すかの如く「海軍港」と刻まれた石碑がそびえています。うっかりすると見逃してしまうので注意が必要です。
明治10年(1877年)に軍が港の範囲を示すための目印として建てたもので、当初は木柱でしたが、明治16年に現在のような石柱に変えられ、以来130年以上島を見守ってきた碑です。
現在は折れてしまい補強して並べてありますが、元の高さは3m余ありました。柱の太さは1辺が30㎝です。
当時、軍は横須賀軍港の範囲を7本の杭で表しました。猿島の杭は6番目のもので、5番目は夏島というところにありました。7本の杭のうち現在残っているこの1本だけとなった貴重な史蹟です。
青いペンキ
石柱の下方には「右江百八十七・・」、「左江九百五・・」と数字が謎のように並んでいますが、これはそれぞれ5番杭、7番杭までの方向と距離と方向を示しているのだそうですが、完全に残っていないのが残念です。
残念といえば、文字に青ペンキが塗られているのも違和感があって残念です。ペンキはさほど古いようには見えません。
誰かが、判読しやすいようにという善意で塗ったのでしょうが、ちょっと首をかしげてしまいます。
史跡は可能な限り在るがままの姿での保存が望ましく、なるべく手を加えない形で猿島を守ってゆきたいものです。(木)
2021年5月