◆妖しい浦島草
爬虫類的な
ドキッとするほど毒々しくて妖しい花です。初めてこの植物を見たときの印象は最悪でした。「気持ちが悪い」。
爬虫類のような顔をしてニョキッと立っているところが、決まって半木陰の薄暗い少し湿気のある所、なども一層不気味に思えました。
しかし、猿島で決まったところで毎年地味に春を告げるこの花を見かけるうちに、いつの間にか気味の悪さはなくなりました。
律義に同じところに花を咲かせる姿がけなげに見え、好ましく思うようにさえなりました。
初対面の印象はよくなかった人が、いつの間にか仲の良い友達になっていたような感じです。
奇妙な生態
気になる植物だったので植物図鑑で調べてみました。花は仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる黒紫のもので包まれており、花の先端が細く伸びて垂れ下がるのを、浦島太郎の釣り糸に見立ててウラシマソウと呼ばれます。
雌雄異体なのですが、生育の差によって雄株から雌株へ性転換してしまうそうです。やはり不思議な植物です。ハエなどは苞の中へ入ると出られなくなってしまうらしいです。
ちなみに英語ではcobra lily Urashima。
絶滅危惧種に指定している県もありますが、猿島では遊歩道脇の秘密の所に小群生を形成しており、4月から5月に花を咲かせます。
秘密の群生場所は専門ガイドにおたずねください。猿島は自然がいっぱいです。(木)
2021年4月