◆壁に謎の小窓
工夫の跡
再び弾薬庫。前回は落書という負の遺産でしたが、今回は先人への尊敬です。
片側の壁に幅20㎝、縦50㎝ほどの謎のような穴が4個並んでいます。穴の向こうに通路もあります。
電気のなかった時代の明かりはランプやロウソクですが、弾薬庫に持ち込むのは危険とうことで考えられたのがこの謎のような装置です。
穴の中にランプを設置し、素通しのガラスがはめ込んであったのです。ランプやロウソクを持ち込まずに、窓の向こう側の通路から内部の様子を観察した、「点灯窓」呼ばれる装置です。
永遠に至るもの
この装置が外国からの借り物の知恵なのか、独自の発想なのかはわかりませんが、完成した当時はおそらく最新の装置だったことでしょう。
でも明治28年(1895年)に島に発電所ができるなど、電気の普及が進めば手間暇かけたこの装置も無用の長物となってしまったに違いありません。
どんな最新の技術や装置も時がたてば必ず古びて陳腐化し、いずれ忘れ去られます。しかし、前へ進もうとした精神は古びません。
聖書(コリント人への手紙)風に言えば「見うるものは暫時にして、見えざるものは永遠に至る」でしょうか。(木)
2022年10月