◆8cm砲座跡の溝
結論は盗掘
8cm高角砲が設置されていた砲座、中心から外周に向かって細い溝が掘られています。この溝、猿島にある4基のうち2基に見られます。
見事にまっすぐです。コンクリートはある程度の道具が無ければ掘れませんので、この溝掘りは計画的だったに違いありません。何のためにこんな溝が掘られたのでしょう。
猿島を調査し良く知る人によると、「この溝には鉄製の排水管が埋まっていた。それを鉄くずとして売るために何者かが掘り出したのではないか、それ以外は考えられない」、というのが結論でした。
欲深き人々
太平洋戦争での敗北で壊滅的な被害を受けた日本ですが、昭和25年に始まった朝鮮戦争の軍需景気のおかげで息を吹き返したのはよく知られた話です。その影響で金属が高騰しました。
記念艦三笠の砲塔や煙突などの大量の鉄が、船の管理を任されていた業者によって鉄くずとして売り飛ばされたのもこの時期です。
猿島の“鉄管盗掘”の犯人は分かりません。ただこの時期、三笠も猿島も同じ業者が管理していたことは分かっています。
時は移っても、大は永田町の政治家の志を曲げ、小は意欲ある隣人をいつの間にか「儲けが正義」の信者へと変えるのがお金のようです。
そんな人達に幕末の英傑高橋泥舟の言葉をおくりましょう。
『欲深き人の心と降る雪は 積もるにつれて道を失う』(木)